切削加工とは?種類・基礎理論・精度の目安を解説

2026.08.03

切削加工とは?種類・基礎理論・精度の目安を解説

 

NC旋盤で金属材料を旋削する切削加工の様子(切粉、チップ)

金属部品の図面を前に、「この形状は切削加工でつくるべきか、それとも別の工法か」と迷った経験はないでしょうか。切削加工はものづくりの基盤となる加工方法ですが、旋削・フライス・穴あけ・研削など範囲が広く、全体像をつかみにくい分野でもあります。

この記事では、切削加工とは何かという定義から、旋削とフライス削りという二大分類、切削の基礎理論(切削抵抗・構成刃先・切削条件)、工具材種の使い分け、達成できる精度の目安までを、精密切削加工メーカーの視点で体系的に解説します。1952年創業以来、切削加工を手がけてきた当社の現場知見をもとにお伝えします。

1. 切削加工とは?──工具で不要部分を削り取る「除去加工」

切削加工とは、刃物(切削工具)と工作物を相対的に動かし、不要な部分を削り取って目的の形状を得る加工方法です。用語を定めたJIS B 0106(工作機械−部品及び工作方法−用語)でも、切削は「切削工具と工作物とを相対運動させて、工作物の不要な部分を除去する加工方法」と定義されています。

ものづくりの加工は、大きく次の3つに分けられます。切削加工は、材料を削って減らす「除去加工」の代表格です。

分類 質量の増減 代表的な加工
除去加工 減る 切削・研削・放電加工・レーザー加工
付加加工 増える 溶接・肉盛り・金属3Dプリンター
成形加工 変わらない 鋳造・鍛造・プレス・射出成形

型を必要とせず図面さえあれば即対応できるため、切削加工は試作から少量多品種、量産まで幅広く使われます。金属部品加工全体の中での位置づけは、金属部品加工の種類ガイドも併せてご覧ください。

2. 切削加工の二大分類──「旋削」と「フライス削り」

切削加工は、「何が回転するか」で大きく2つに分けられます。この違いが、つくれる形状を決める最も重要なポイントです。

旋盤加工とマシニングセンタの動作原理を対比した比較イラスト(左:CNC旋盤の旋削/右:MCの正面フライス)

旋削(材料が回転)とフライス削り(工具が回転)の対比

分類 回転するもの 代表機械 得意な形状
旋削(ターニング) 工作物(材料)が回転 NC旋盤・自動旋盤 円筒・端面・テーパ・ねじなど回転対称形状
フライス削り(ミーリング) 工具が回転 フライス盤・マシニングセンタ 平面・溝・段差・自由曲面など

材料が回り工具(バイト)を当てるのが旋削、工具が回り固定した材料を削るのがフライス削りです。両者の違いと使い分けは旋盤加工・フライス盤加工の基礎と応用で詳しく解説しています。近年は、両方の機能を1台に集約したNC複合旋盤や、加工機を比較した旋盤加工とマシニングセンタの違いもご参照ください。

3. その他の切削加工──穴あけ・中ぐり・ねじ切り・歯切り

旋削・フライス削り以外にも、定まった切れ刃をもつ工具による切削加工は数多くあります。代表的なものを整理します。

  • 穴あけ(ドリル加工):ドリルで穴をあける加工
  • 中ぐり(ボーリング):あけた穴を高精度にくり広げる加工
  • ねじ切り:タップ・ダイス・バイトでねじ山を形成
  • 歯切り:歯車やスプロケットの歯形を創成
  • ブローチ加工:内スプラインやキー溝などの特殊断面を一度に仕上げる

4. 「切削加工」と「研削加工」はどう違う?

混同されやすいのが切削加工と研削加工です。両者の本質的な違いは「工具の切れ刃の形」にあります。

切削加工はバイト・ドリル・フライスなど、形状の定まった刃物で削ります。一方の研削加工は、無数の硬い砥粒が結合した砥石(といし)で削る加工です。研削は寸法公差0.01mm以下や鏡面に近い表面粗さといった、より厳しい仕上げに向きます。実務では「荒〜中仕上げは切削、最終の高精度仕上げは研削」と役割を分けることが多くあります。

5. 知っておきたい切削の基礎理論

切削抵抗(切削三分力)

切削時に工具が受ける力(切削抵抗)は、3方向の分力に分けて考えます。切削方向に働く主分力、送り方向の送り分力、工具を押し戻す背分力の3つで、一般に主分力が最も大きくなります。この力が大きいほど工具のたわみ・びびり・発熱が増えるため、切削条件で適切にコントロールします。

切削抵抗の解説図 切削三分力 切削方向に働く主分力、送り方向の送り分力、工具を押し戻す背分力

 

 

切削条件の3要素

要素 意味 代表的な式
切削速度 Vc(m/min) 刃先が材料を削る速さ Vc = π × D × n ÷ 1000
送り f(mm/rev) 1回転あたり工具が進む量 フライスの送り速度 Vf = fz × z × n
切込み ap(mm) 1回で削り取る深さ

(D:直径、n:主軸回転数、fz:1刃あたり送り、z:刃数)。この3要素のバランスが、加工時間・面粗さ・工具寿命を左右します。

構成刃先(こうせいはさき)

軟鋼・アルミ・ステンレスなどの粘い材料を低速で削ると、切りくずの一部が刃先に溶着・硬化し、本来の刃先に代わって削ってしまう構成刃先(Built-up Edge)が発生します。これが寸法精度の低下や仕上げ面の荒れ、脱落時のチッピングを招きます。対策は、切削速度を上げる・すくい角を大きくする・潤滑性の高い切削油を使う・親和性の低い工具材種を選ぶことです。

6. 切削工具の材種と被削材別の使い分け

工具材種は、硬さと靱性(粘り強さ)のバランスで選びます。硬い順に並べると、ダイヤモンド > CBN > 超硬合金 > サーメット > ハイス(高速度工具鋼)となり、靱性はおおむね逆順です。

各種切削工具・超硬インサートの一覧

 

工具材種 特徴 主な用途
ハイス(高速度鋼) 粘り強く欠けにくい 複雑形状工具・低剛性機械
超硬合金 硬さと靱性のバランスが良い 荒加工〜量産の主力
サーメット 溶着しにくく光沢面が出る 鋼の仕上げ加工
CBN 高温でも硬く鉄と反応しにくい 焼入れ鋼・鋳鉄
ダイヤモンド(PCD) 最も硬いが鉄系は不可 アルミ・銅・樹脂など非鉄

7. 切削加工のメリット・デメリットと達成できる精度

切削加工は、高精度かつ自由な形状を、型なしで少量から実現できるのが最大の強みです。一方で切りくずが出るため材料歩留まりが下がり、単純形状の大量生産では鋳造・プレスのほうが有利な場合もあります。

観点 目安
旋削(仕上げ)の表面粗さ おおよそ Ra 0.8〜3.2µm
フライス(仕上げ)の表面粗さ おおよそ Ra 0.8〜6.3µm
研削の表面粗さ おおよそ Ra 0.2〜0.8µm

※数値は加工条件によって変わる一般的な目安です。より厳しい寸法公差や面粗さが必要な場合は、研削などの後工程を組み合わせて対応します。

8. 切削加工が使われる分野と当社の対応

切削加工は、建設機械・農業機械・医療機器・半導体装置・自動車・油圧機器など、あらゆる産業の精密部品づくりを支えています。材質も鉄系・ステンレス・アルミ・銅合金(C3604/C3602など)・樹脂まで多岐にわたります。

当社では、NC旋盤約60台・マシニングセンタ約10台に加え、TSUGAMI SS207-Ⅱ-5AX(5軸複合加工機)や中村留精密工業製 NTJ-100(NC複合自動盤)、ブラザー SPEEDIO R450X2、TSUGAMI FMA5-Ⅲ(5面加工機)などを保有しています。設備の詳細は設備紹介ページをご覧ください。

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切削加工のご相談はヨシダセイコーへ

ヨシダセイコーは1952年創業、石川県金沢市の精密切削加工メーカーです。NC旋盤約60台・マシニングセンタ約10台・測定機器1,100点以上の体制で、旋削からフライス・穴あけ・仕上げ・検査まで一貫して対応します。ISO9001:2015/ISO14001取得。

材質や形状、要求精度に応じた最適な加工方法のご提案が可能です。図面がない段階からのご相談も、内容にもよりますがまずはお気軽にどうぞ。お問い合わせはこちら(お電話:076-288-7001/平日 8:30〜17:00)。

 

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