「両頭フライス盤という名前は聞くが、通常のフライス盤と何が違うのかわからない」「自社の部品加工に両頭フライス加工は適しているのか判断したい」——こうした疑問を持つ設計者・購買担当の方は少なくありません。両頭フライス盤は、ワークの対向する2面を2本のフェイスミルカッターで同時に削り出すことで、平行度と寸法精度を高水準で安定させられる工作機械です。本記事では、両頭フライス盤の仕組みと特徴、加工に適した部品、依頼時に確認すべきポイントを解説します。1952年創業の武田機械 BXR150SF・BXR310SF を含む両頭フライス盤を保有する株式会社ヨシダセイコーの知見をもとに、現場で役立つ情報をお届けします。

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両頭フライス盤とは
両頭フライス盤の定義
両頭フライス盤とは、ワーク(被加工物)の対向する2面を、左右に向かい合わせて配置した2本の主軸スピンドルで同時に切削する工作機械です。「両頭」とはスピンドルが2つあることを示しており、英語では Double-Head Milling Machine と呼ばれます。切削工具には、外周や先端に多数のチップ(刃先)を備えた円盤状のフェイスミルカッター(正面フライス)を用い、広い平面を一度の通過で削り取ります。
通常のフライス盤がワークの片面を1工程で加工するのに対し、両頭フライス盤は2面を同時に削り出します。1工程で対向2面の加工が完了するため、量産部品の加工時間短縮と、両面の平行度を1回の段取りで保証できる点が大きな特徴です。
一般的なフライス盤との違い
両頭フライス盤と一般的な立型・横型マシニングセンタは、用途と得意分野が異なります。設計段階での工法選定に役立つよう、主な違いを下表に整理しました。
| 項目 | 両頭フライス盤 | 立型マシニングセンタ | 横型マシニングセンタ |
|---|---|---|---|
| 加工面 | 対向2面同時 | 1面ずつ(多面はインデックス) | 1面ずつ(パレット交換可) |
| 主用途 | 板状ワークの両面平行加工 | 金型・複雑形状部品 | 多面加工・量産 |
| 平行度の出しやすさ | ◎(同時加工で安定) | △(段取り替え必要) | ○(治具次第) |
| 段取り工数 | 少ない | 多い | 中程度 |
| 得意なロット | 小〜中ロット量産 | 試作〜中ロット | 中〜量産 |
板状部品で「両面の平行度や厚み公差を厳しく出したい」というケースでは、両頭フライス盤が最も適した工法です。一方で、3次元の複雑形状や穴・ポケット加工が中心の部品は、立型・横型のマシニングセンタが向きます。機械加工の技術力のページで、各工法の対応範囲を解説しています。
両頭フライス盤の3つの特徴
特徴1: 両面同時加工による加工時間の短縮
両頭フライス盤の最大の特徴は、対向2面を1工程で同時加工できる点です。ワークを反転させて2回フライス加工する場合と比べ、段取り時間と加工時間の双方を大幅に短縮できます。
例えば、厚み20mmの板状ワークの対向2面を厚み18mmまで仕上げるケースでは、立型マシニングセンタで両面加工する場合、片面加工→反転→もう片面加工の3ステップが必要です。両頭フライス盤であれば、ワークを1回チャックするだけで対向2面を同時に削り出せるため、サイクルタイムを概ね30〜50%短縮できます。
さらに、回転テーブルを備えた機種では、対向2面を加工したあとにワークを旋回させ、残る2面も同じチャックのまま続けて加工できます。当社の武田機械 BXR310SF はこのタイプで、油圧クランプで固定したワークを回転テーブルで割り出し、「ワンチャッキングで4面加工」に対応します。段取り替えをはさまずに全周4面の平行度・直角度をまとめて出せるため、角物・枠状の部品でも高い精度と短いサイクルタイムを両立できます。

特徴2: 高い平行度と寸法精度
両頭フライス盤は2本のスピンドルを左右対称に配置し、対向する2面を同時切削します。そのため、ワークの両面に加わる切削抵抗が相殺され、加工中の熱変形や反りを最小限に抑えられます。
結果として、両面の平行度は0.01〜0.02mm前後の高精度で安定します。立型マシニングセンタで反転加工した場合、ワーク再チャック時の位置決め誤差により、平行度が0.05mm程度になることも珍しくありません。両頭フライス盤は「平行度・厚み公差を厳しく管理したい板状部品」に向いた工法といえます。
特徴3: 量産部品との高い相性
両頭フライス盤はサイクルタイムが短いうえ、両面加工が1工程で完了するため、量産部品の加工に向いています。NC化された両頭フライス盤であれば、プログラム制御により加工精度のばらつきを抑え、数百個〜数千個ロットでも安定した品質を維持できます。
ワークの形状が比較的単純で、多数の同一形状部品を継続して製造するケース——例えば、油圧機器のベース板や、機械部品の取付プレートなどで効果を発揮します。
両頭フライス加工に適した部品の例
両頭フライス加工は、すべての部品加工に万能というわけではありません。形状や要求精度によって向き・不向きがあります。代表的な適用例を3つ紹介します。
適用例1: 油圧シリンダーのベース・取付プレート
油圧シリンダーや油圧機器のベースプレートは、両頭フライス加工の代表的な対象です。取付面の平行度と厚み公差は、シール性能や組付精度に直結します。両頭フライス盤による同時加工で、平行度0.02mm以下を安定して出せるため、油漏れ・組付不良のリスクを低減できます。
適用例2: 機械装置のフレーム・架台部品
産業機械の架台部品やフレーム部材も、両頭フライス加工が向いています。これらの部品は、組付精度を担保するため複数の取付面に厳しい平行度・直角度が要求されます。両頭フライス盤での加工と、必要に応じた立型・横型マシニングセンタでの追加加工を組み合わせることで、高精度な多面加工を実現できます。
適用例3: 量産プレート類・金型のモールドベース
電子機器・産業機械向けの量産プレート部品や、金型のモールドベース(プレートを積層して構成する金型部品)も、両頭フライス加工品の主用途です。いずれも複数の平面に厳しい厚み・平行度が要求され、かつ同一形状を多数加工するため、両頭フライス盤の同時加工と相性が良い分野です。1個あたりの加工時間を短縮できるため、数百個〜数千個の安定供給にも向いています。加工事例一覧では、当社が手がけた量産部品の事例を紹介しています。
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両頭フライス加工の仕様・ロットについてお悩みでしたら、当社にご相談ください。1952年創業以来70年以上の加工経験をもとに、最適な工法をご提案します。
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両頭フライス加工を依頼する際のポイント
ポイント1: 図面で確認すべき項目
両頭フライス加工を外注する際は、図面で以下の項目が明示されていると見積精度が高まります。
- 厚み公差: 両面同時加工の効果を最大化する重要項目です。±0.02mm以下の指定がある場合は両頭フライスが第一候補
- 平行度・直角度: 幾何公差の指示があれば、工法選定の判断材料になります
- 表面粗さ: Ra1.6前後が一般的。Ra0.8以下を求める場合は研削との組合せ加工を検討
- 外形寸法・対象面のサイズ: 機械の加工範囲(最大ワーク寸法)に収まるか確認します
ポイント2: 対応可能なワークサイズ
両頭フライス盤の加工範囲は、機種によって大きく異なります。一般的には小型機で7×7mm程度から、大型機で500×500mm程度までが目安です。
依頼先の保有機種・対応サイズを事前に確認し、自社の部品が加工範囲内に収まるか確認しましょう。当社の場合、武田機械 BXR150SF(最大150×150mm)と BXR310SF(最大310×310×150mm)を保有しており、小型〜中型ワークの両頭フライス加工に対応しています。詳細は設備一覧ページをご覧ください。
ポイント3: 後工程との連携
両頭フライス加工後に、穴あけ・タップ・面取りなどの追加加工が必要な部品も多くあります。両頭フライスとマシニングセンタを併設している会社であれば、1社で完結できるため、納期短縮とコスト圧縮につながります。
当社では両頭フライス盤に加え、NC旋盤約60台・マシニングセンタ約10台・ワイヤーカット放電加工機・各種測定機器1,100点以上を保有しており、両頭フライス加工単体から多工程の一貫加工まで対応可能です。
両頭フライス加工でお困りなら、ヨシダセイコーへ
両頭フライス加工は、板状部品の両面平行度・厚み公差を高い水準で安定させたいケースで効果を発揮する工法です。一方、形状や要求精度によっては、立型・横型のマシニングセンタや複合旋盤との組合せが最適な場合もあります。
株式会社ヨシダセイコーでは、武田機械 BXR150SF・BXR310SF をはじめとする両頭フライス盤に加え、ブラザー SPEEDIO R450X2 などの立型マシニングセンタ、ツガミ FMA3-Ⅲ などの横型マシニングセンタ、ツガミ U-300(5面加工機)を保有しています。1個の試作から数万個の量産まで、お客様の部品形状・ロットに応じた最適な工法をご提案します。
工法選定や対応可否の確認は、内容にもよりますが、まずはご相談を承っています。「両頭フライスでいけるかどうか判断したい」という段階からお気軽にご相談ください。
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