「精密部品加工を依頼したいが、どの程度の精度からが”精密”なのかわからない」「自社の図面に対応できる加工会社を探している」——こうした疑問や課題を持つ設計者・購買担当の方は少なくありません。精密部品加工は、公差±0.01mm以下の高い寸法精度が求められる切削・研削加工の総称です。本記事では、精密部品加工の定義から対応する加工技術、依頼時の注意点までを体系的に解説します。1952年創業・NC旋盤約60台・マシニングセンタ約10台を保有する株式会社ヨシダセイコーの知見をもとに、実務で役立つ情報をお届けします。
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精密部品加工とは
精密部品加工の定義
精密部品加工とは、公差(図面で指定される寸法の許容範囲)±0.01mm以下の高い寸法精度で金属や樹脂を加工する技術の総称です。JIS B 0401-1:2016(寸法公差及びはめあいの方式)で定められたIT等級では、IT5〜IT7相当の精度が精密部品加工の領域に該当します。(一般機械加工は、IT8~IT10相当の精度領域)
一般的な機械加工の公差が±0.05〜±0.1mm程度であるのに対し、精密部品加工では1桁以上厳しい精度管理が必要です。加えて、表面粗さや真円度・同軸度といった幾何公差(形状や位置のずれに関する公差)も高い水準で求められます。こうした精度を安定して実現するには、CNC(コンピュータ数値制御)対応の工作機械と、熟練技術者の経験が不可欠です。

株式会社ヨシダセイコーでは、±0.01mmの寸法精度に対応し、鉄系・ステンレス・アルミ・銅合金・樹脂まで幅広い材質の精密部品加工を手がけています。ISO9001:2015認証のもと、測定機器1,100点以上を用いた品質管理体制で安定した精度を維持しています。
精密部品加工が求められる分野
精密部品加工は、製品の安全性や機能性に直結する部品を製造する分野で広く採用されています。以下に代表的な4つの分野を紹介します。
- 自動車: エンジン周辺部品やトランスミッション部品には、μm単位の嵌合精度が必要です。燃費や耐久性に直結するため、公差管理が厳格に行われます。
- 医療機器: 人工関節や内視鏡部品など、人体に触れる部品は高い寸法精度と表面品質の両立が求められます。SUS316Lなどの耐食性材質が多く使用されます。
- 半導体装置: ウエハー搬送部品やステージ機構は、ナノメートル〜マイクロメートル単位の位置決め精度が要求されます。アルミ合金(A7075等)の軽量高精度加工が主流です。
- 油圧・建設機械: 油圧シリンダーやバルブボディは、シール面の精度不足が油漏れに直結します。内径の真円度や表面粗さの管理が重要です。
ヨシダセイコーでは、建設機械や農業機械から医療機器・半導体装置まで、幅広い業界の精密部品加工の実績があります。実際にSUS316L製のTTSシリンダーを±0.01mm以下の精度で加工した事例など、高精度な加工事例を公開していますのでご参考ください。
精密部品加工の仕組み — 高精度を実現する3つの要素
精密部品加工で安定した品質を実現するには、「設備」「材料」「品質管理」の3つの要素が欠かせません。いずれか1つでも不十分であれば、図面通りの寸法精度を維持することは困難です。
要素1: 設備 — NC工作機械と複合加工機
精密部品加工の土台となるのが、CNC制御の工作機械です。NC旋盤やマシニングセンタは、プログラムに基づいて刃物の位置を0.001mm単位で制御します。これにより、手動加工では実現が難しい再現性の高い加工が可能になります。
さらに、旋盤加工とフライス加工を1台で行える複合加工機を活用すれば、段取り替え(ワークの付け替え)による位置ずれを防止できます。段取り回数の削減は精度向上だけでなく、加工時間の短縮にも寄与します。ヨシダセイコーでは、TSUGAMI SS207-Ⅱ-5AX(5軸複合加工機)や中村留精密工業 NTJ-100(NC複合自動盤)をはじめとする最新鋭の設備を導入し、複雑形状の精密部品にも対応しています。

要素2: 材料 — 被削性と寸法安定性
加工精度は材料の特性にも大きく左右されます。例えば、SUS303(快削ステンレス鋼)は被削性(切削しやすさ)に優れ、精密旋盤加工に適しています。一方、SUS304は耐食性が高いものの加工硬化しやすく、切削条件の最適化が求められます。
アルミ合金では、A5052(汎用性重視)とA7075(高強度)で切削特性が大きく異なります。材質ごとの特性を理解し、適切な切削工具と加工条件を選定することが精度確保の鍵です。ヨシダセイコーでは、鉄系・ステンレス・アルミ・銅合金・樹脂(POM、MCナイロン等)・耐熱鋼(SUH等)まで幅広い材質に対応しており、材料調達から一貫して対応可能です。
要素3: 品質管理 — 測定と検査体制
加工後の寸法検証は、精密部品加工の品質を保証する最終工程です。マイクロメーターやノギスによる測定だけでなく、三次元測定機(CMM)や表面粗さ・輪郭形状測定機を用いた多角的な検査が行われます。
ISO9001:2015に基づく品質マネジメントシステムの運用も重要な要素です。加工条件の記録、測定データのトレーサビリティ確保、定期的な設備校正を徹底することで、ロット間のばらつきを最小限に抑えられます。ヨシダセイコーでは、キーエンス XMシリーズやSURFCOM NEX200 DX2(表面粗さ測定機)を含む測定機器1,100点以上を保有し、ISO9001およびISO14001に基づく品質・環境方針のもとで全数検査・抜取検査を実施しています。

以下の表は、精密部品加工における高精度実現の3要素をまとめたものです。
| 要素 | 具体的な内容 | 精度への影響 |
|---|---|---|
| 設備 | NC旋盤、マシニングセンタ、複合加工機、5軸加工機 | 0.001mm単位の位置制御で再現性を確保 |
| 材料 | 被削性・寸法安定性・熱膨張係数の把握 | 材質特性に応じた加工条件の最適化 |
| 品質管理 | 三次元測定機、表面粗さ・輪郭形状測定機、ISO9001運用 | ロット間ばらつきの最小化とトレーサビリティ |
精密部品加工に対応する加工技術
精密部品加工に用いられる代表的な加工技術を4つ紹介します。それぞれの特徴と得意分野を把握し、図面に最適な工法を選定することが品質とコストの両立につながります。
NC旋盤加工
NC旋盤加工は、回転するワーク(被加工物)に刃物を当てて外径・内径・端面を切削する加工方法です。シャフトやピン、スリーブなど円筒形状の部品加工に最も広く用いられています。
CNC制御により、外径公差±0.01mm、表面粗さRa0.8〜Ra1.6μm程度の仕上げが安定的に実現できます。バー材(丸棒素材)を自動供給するオートバーフィーダーを組み合わせれば、夜間の無人運転による量産加工も可能です。
ヨシダセイコーでは、NC旋盤約60台を保有し、φ3〜φ300mmのワークサイズに対応しています。バー材加工ではφ3〜φ65mmに対応し、1個の試作から数万個の量産まで柔軟に生産しています。2025年度は最新鋭のNC旋盤4台の入替えにより、加工能力をさらに強化しました。旋盤加工・フライス盤加工の基礎知識についてはコラムでも詳しく解説しています。

マシニングセンタ加工(立型・横型・5軸)
マシニングセンタ(MC)は、フライス加工・穴あけ・タッピング・リーマ加工などを1台で行える多機能工作機械です。工具を自動交換するATC(自動工具交換装置)を備え、複雑な形状の部品を効率的に加工します。
立型MCは上方からの加工に適し、プレート状の部品やブロック部品の平面加工に用いられます。横型MCは切りくずの排出性に優れ、箱形状の部品や長時間の連続加工に適しています。5軸MCは、工具またはワークを同時に5軸方向に制御し、アンダーカット形状や曲面加工を1回のチャッキング(固定)で完了できます。
ヨシダセイコーでは、ブラザー SPEEDIO R450X2、TSUGAMI FMA5-Ⅲ(5面加工機)をはじめとするマシニングセンタ約10台を保有し、1,000mm×500mm以下のワークサイズに対応しています。横型・5面加工では400mm角以下の部品に対応可能です。
複合加工機
複合加工機は、NC旋盤の回転機能とマシニングセンタのミーリング機能を1台に統合した工作機械です。旋削・フライス・穴あけを同一機械上で行うため、工程間でのワーク脱着が不要になり、段取り替えに起因する位置ずれを排除できます。
この特性は、同軸度や直角度など幾何公差の厳しい部品で特に効果を発揮します。加工工程数の削減により、リードタイム(納期)の短縮にもつながります。実際に、ヨシダセイコーではSUS製スプロケットの複合加工事例のように、複合加工機を主力設備として活用し、高精度と短納期を両立させています。
ワイヤーカット放電加工
ワイヤーカット放電加工は、細い金属ワイヤー(直径0.1〜0.3mm程度)を電極として放電現象を利用し、金属を溶融除去する非接触加工技術です。刃物による切削力がかからないため、薄肉部品や硬質材料(焼入れ鋼やSKD11等の工具鋼)の加工に適しています。
加工精度は±0.005〜±0.01mm程度と高く、複雑な輪郭形状の切り出しが可能です。金型部品やゲージ、異形断面の精密部品の製造に広く活用されています。ヨシダセイコーでは、三菱電機 MV1200Rを導入し、高精度なワイヤーカット加工に対応しています。

加工技術比較表
以下の表は、精密部品加工に用いられる4つの加工技術を比較したものです。部品形状と要求精度に応じて最適な工法を選定する際の参考にしてください。
| 加工技術 | 加工精度 | 得意な形状 | 対応材質 | 量産適性 |
|---|---|---|---|---|
| NC旋盤 | ±0.01mm | 円筒形状(シャフト、ピン、スリーブ) | 鉄・SUS・アルミ・銅・樹脂 | ◎(自動化容易) |
| マシニングセンタ | ±0.01〜±0.02mm | ブロック・プレート・箱形状 | 鉄・SUS・アルミ・銅 | ○(ATC活用) |
| 複合加工機 | ±0.01mm | 旋盤+ミーリング複合形状 | 鉄・SUS・アルミ・銅 | ○(工程集約) |
| ワイヤーカット放電 | ±0.005〜±0.01mm | 異形断面・薄肉・硬質材 | 導電性金属全般 | △(低速) |
加工方法の選定でお悩みですか?
ヨシダセイコーでは、NC旋盤約60台・マシニングセンタ約10台・複合加工機・ワイヤーカットを取り揃え、材料調達から表面処理・組立まで一貫対応しています。最適な工法のご提案から承りますので、お気軽にご相談ください。
精密部品加工のメリット・注意点
精密部品加工のメリット
- 製品性能の向上: 部品の嵌合精度が高まることで、組立後の製品全体の性能が向上します。例えば、油圧バルブの摺動面精度を±0.01mmに管理することで、油漏れを防止し機器の寿命を延ばせます。
- 歩留まりの改善: 寸法ばらつきを抑えた精密加工により、後工程での組付け不良やリワーク(やり直し加工)が減少します。結果として製造コスト全体の削減につながります。
- 多品種少量への対応: CNC制御の工作機械はプログラムの切り替えだけで異なる部品を加工できるため、1個の試作から数万個の量産まで柔軟に対応できます。ヨシダセイコーでも、1個〜数万個のロットに対応しています。
- 複雑形状の実現: 5軸マシニングセンタや複合加工機を活用すれば、従来は複数工程に分けていた加工を1回のチャッキングで完了でき、複雑な三次元形状も高精度に仕上がります。
精密部品加工の注意点
- コストと精度のバランス: 公差を厳しくするほど加工時間と検査工数が増え、単価が上昇します。図面設計の段階で、機能上本当に必要な精度を見極めることが重要です。過剰な公差指定はコスト増の原因になります。
- 材質選定の影響: 被削性の低い材質(SUS304、チタン合金等)は加工難度が高く、工具摩耗も早まります。材質の変更が可能な場合は、被削性を考慮した代替材の検討が有効です。
- ロットサイズと納期: 極小ロット(1〜数個)の場合、段取り時間の比率が高まり単価に影響します。量産への移行を見据えた設計・発注を行うと、長期的なコスト最適化が図れます。
よくあるご質問
Q1. 精密部品加工の対応可能なサイズはどのくらいですか?
対応可能なサイズは加工会社の保有設備によって異なります。ヨシダセイコーの場合、NC旋盤加工ではφ3〜φ300mm(バー材はφ3〜φ65mm)、マシニングセンタ加工では1,000mm×500mm以下のワークに対応しています。横型MCや5面加工機では400mm角以下の部品が加工可能です。詳しくは対応ワークサイズの詳細をご確認ください。
Q2. 1個だけの試作品でも依頼できますか?
対応可能です。CNC工作機械はプログラムによる制御のため、試作1個から数万個の量産まで柔軟に対応できます。ヨシダセイコーでは、試作段階のご相談から量産移行まで一貫してサポートしています。試作の場合も図面をご用意いただければ、材料手配を含めてお見積りが可能です。
Q3. 図面がない段階でも相談できますか?
図面がない段階でもご相談いただけます。スケッチや現物サンプルの内容にもよりますが、まずはご相談を承っています。「こういう機能を持った部品がほしい」という段階から、材質・加工方法・コストの最適化を含めてご提案いたします。まずはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
まとめ
精密部品加工は、公差±0.01mm以下の高精度な寸法管理を求められる金属加工技術です。本記事のポイントを整理します。
- 精密部品加工はIT等級IT5〜IT7相当の精度領域であり、設備・材料・品質管理の3要素で品質が決まる
- NC旋盤・マシニングセンタ・複合加工機・ワイヤーカット放電加工の4つが代表的な加工技術であり、部品形状と要求精度に応じた工法選定が重要
- 図面設計段階でのコストと精度のバランス検討が、トータルコスト最適化の鍵となる
株式会社ヨシダセイコーは、1952年の創業以来70年以上にわたり精密加工に取り組んでまいりました。NC旋盤約60台・マシニングセンタ約10台・複合加工機・ワイヤーカットを備え、材料調達から表面処理・組立まで一貫対応しています。1個の試作から数万個の量産まで、お客様の多様なニーズにお応えします。
精密部品加工のことなら、ヨシダセイコーにお任せください。
技術的なご質問から、お見積り、試作のご相談まで、お気軽にどうぞ。
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【この記事の著者】
佳山哲也(代表取締役)
1952年創業の株式会社ヨシダセイコーにて精密加工に従事。ISO9001:2015およびISO14001認証取得のもと、NC旋盤約60台・マシニングセンタ約10台・測定機器1,100点以上を活用した高精度加工を推進。石川県金沢市を拠点に、建設機械・医療機器・半導体装置など多業界の精密部品を手がける。
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【参考文献】
- JIS B 0401-1:2016「製品の幾何特性仕様(GPS)—長さに関わるサイズ公差のISOコード方式—第1部:サイズ公差,サイズ差及びはめあいの基礎」日本規格協会
- JIS B 0024:2019「製品の幾何特性仕様(GPS)—幾何公差表示方式—基本原理」日本規格協会
- 一般社団法人日本工作機械工業会「工作機械の基礎知識」https://www.jmtba.or.jp/